(上記写真は、本文とは関係ありません。ちなに写真は台湾の”九分の阿妹茶楼”です)
いつもDietitian Jobブログをご愛読いただき、ありがとうございます。
Dietitian Job運営会社である株式会社東洋システムサイエンスは、台湾との経済交流の一環として台湾貿易センター国際企業人材育成センター(ITI)からのインターンシップ生、林(りん)さんを受け入れ、弊社で3週間研修を行いました。台湾の食文化や、研修中体験した事を特別版として6回に渡って紹介させて頂きます。
最終回は、埼玉県学校給食会様並びに学校給食歴史館の訪問記です。
栄養士とも、日本人とも異なった視点から見た日本をお楽しみ頂ければと思います。
こんにちは。私は、台湾国際企業人材育成センター(以下:ITI)からの研修生、林(りん)です。
現在勉強しているITIは、2年間で外国語や経営を学ぶ人材育成機関です。私は日本語を専攻しており、今回は日系企業でのビジネスを体験するために、研修しに参りました。ITIで学んだことを実際に日本の職場で生かして、日本人の仕事ぶり・ビジネスの習慣・文化などの違いを交流しました。
埼玉県学校給食会
訪問前、給食会は先日見学させて頂いた給食センターのような施設のイメージがありました。しかし実際には、安全でおいしい給食の為の拠点だという事がわかりました。
給食会の役割としては大きく分けて3つあります。
- 給食物資の提供。食べる生徒の気持ちをよく考えて、商品の開発と仕入れに取り組んでいます。
- 安全の確保と衛生管理。食材の安全性を確保するため、自主的に、また市町村からの依頼を受けて衛生検査を行っています。
- 食育支援活動など。地元の食材を活用できるように埼玉県の地産地消推進運動にも積極的に参加したり、広報誌などの発行や、食品に関する最新情報を発信しています。
広い建物の中から、今回は調理実習室を見学しました。私はこのような調理室を見るのは初めてです。きれいに並んだ調理台はアメリカ映画のトランスフォーマみたいに組み直すことができます。
この調理室で学校給食に関するイベントが行われます。例えば、児童生徒の保護者を対象とした学校給食教室や親子料理教室、調理コンクールなどの食育活動です。親子料理教室は人気が高く、父親たちもよく参加するそうです。このようなイベントを通じて、料理を考えたり作ったりする人とその料理を食べる人の交流ができるようになっています。食事の大切さが子どもたちや保護者にも伝わって、社会全体の発展にも繋がります。
普段自宅の台所で包丁や食器はよく見ていますが、こちらの棚に入っている食器や調理器具の数や種類の豊富さにとても驚きました。引き出しの中には、サイズや機能が違う包丁やスプーン、麺棒、ヘラ、泡立て器などがあります。スチームコンベクションオーブンは、ただボタンを押すだけで蒸し物、煮物、焼き物が全部できます。まるで魔法のドアのようだと思いました。この万能な調理室でなら、私みたいに料理が出来ない人でも最高においしい料理ができるでしょう。“職人が立派な仕事をしたいと思ったらまずは道具を研ぐ”とお聞きしました。料理にとって調理器具は重要です。
学校給食歴史館
日本に来る前、学校給食についてよく知るためにネットで調べてきました。日本の学校給食へのイメージがまだあまり湧きませんでしたが、その時給食について書かれた歴史を拝見しました。次はその歴史について学べる学校給食歴史館を見学しました。
学校給食に関する歴史資料等を収集して一般公開を行っていて、多くの方に学校給食についての理解をより深めていただくとともに、食育の推進にも役立つことができるところです。日本で唯一の学校給食についての歴史館だそうです。
中に入ると、まず目に入るのは日本学校給食の始まりと言われている山形県鶴岡市の記念碑です。そして、各年代の学校給食献立サンプルとポスターが数多く展示されています。日本の学校給食の始まりは1889年と、とても早いことに驚きました。台湾の学校給食は第二次世界大戦の後、1950年代ぐらいに始まりました。こちらに書いてある歴史から、昔から日本人は食事を大切にしていることがわかりました。各年代の学校給食献立サンプルを見て、学校給食の発展は歴史的な背景とともに進み、給食の多様性も少しずつ豊かになってきたのだとわかりました。
↑ 明治22年(1889年):おにぎり、塩鮭、菜の漬物
↑ 大正12年(1923年):五色ごはん、栄養味噌汁
↑ 昭和17年(1942年):すいとんの味噌汁
↑ 昭和27年(1952年):コッペパン、脱脂粉乳、鯨の竜田揚げ、キャベツ、ジャム
1999年の献立(なす南蛮風うどん)を見て、館長さんに「どうしてうどんはスープに直接入れなかったのですか?」と質問させて頂きました。すると、このようにトレイの上に置けばうどんも柔らくならないし、量の計測も便利で正確だからと教えていただきました。食べる人も作る人も嬉しいだろうと思いました。
料理に限らず、食器も進化してきました。食器は料理を盛るだけではなく、手で持つ時の温度や溶出物の恐れ、環境への汚染などの方面も考えるべきだと教えて頂きました。
研修の間、社員のみなさんから給食の思い出話をたくさん伺いました。給食はただ食べることや栄養を得られるだけでなく、友達と一緒の楽しい思い出だとも言えるでしょう。
今回は貴重な経験をさせて頂き、大変勉強になりました。埼玉県学校給食会は生徒の為に最高の品質の給食になるよう工夫をされています。これは社会にとって欠かせないものです。将来台湾の給食も日本のように大きな進歩があれば、最高です。私自身も、今回の日本での経験を大切にして、将来どちらにいても学んだことを生かせるように頑張ります。