こんにちは、執筆スタッフの髙橋美枝です。最近、歯医者さんの求人に栄養士の募集が載っていて驚いたことがありました。
歯医者さんに栄養士?!と、びっくりしたのですが、歯の健康には栄養素の関係もあるということを考えると、納得させられる部分があり、実際に歯医者さんで働かれている栄養士さんがいたら、お話を伺ってみたいなと思いました。
今回は、歯の病気の中でもよく耳にする「歯周病」と栄養素の関係についてお伝えしたいと思います。
「歯周病」は、歯周組織が破壊され、その機能が障害される病気のことで、これら一連の過程において環境的、後天的リスクファクター、遺伝的リスクファクターの影響を強く受けると考えられています。また、喫煙と歯周病については、非常に多くのエビデンスがある一方、栄養、食生活と「歯周病」の関連性については、あまり明確に示されてこなかったようです。
けれど近年、少しずつ解明されてきており、口腔衛生会誌での論文「最近の歯周病と栄養素・食品に関するエビデンス」では、ビタミンやミネラルなどが「歯周病」に有効的であることが報告されています。
歯周病に有効な栄養素とは?
上述した論文の中で、「歯周病」に有効である栄養素は、ビタミンC、カルシウム、ビタミンD、乳酸菌、マグネシウム、葉酸、ビタミンA(カロテノイド)、オメガ3脂肪酸などの栄養素が歯周病予防に効果的であると述べてあります。
ビタミンCについては、古くから疫学調査や動物実験などでそのメカニズムも明らかにされていて、すでにビタミンC入りの歯磨粉なども売っているので、ご存じの方もいらっしゃると思います。論文には栄養素の働きなどは書かれてませんでしたが、栄養士的に補足すると、ビタミンCやビタミンA(カロテノイド)などの強い抗酸化作用を持つ栄養素は、歯茎の炎症を防ぐため、「歯周病」を予防すると考えられます。
また、カルシウム不足は、歯の根が埋まっている部分にある、歯そう骨が溶け、「歯周病」を引き起こす原因になるので、カルシウムは「歯周病」に有効であること、さらに骨の健康を守るマグネシウムや、カルシウムの吸収を促進させるビタミンDも必要だといえます。
乳酸菌も「歯周病」を予防する栄養素とのことで、1日に55g以上摂取している方は、「歯周病」が少ないという結果が出ています。しかしながら、著者らは、食品中のカルシウムの影響よりも乳酸菌による発酵食品の影響の方が強いと示唆しています。なんとなく、ここらへんについては理解できましたが、私が知らなかった内容は、オメガ3脂肪酸が「歯周病」に効くということでした。
オメガ3脂肪酸は生活習慣病を予防する脂肪酸ですが、歯茎にも効くということは驚きでした!
歯茎の皮膚はコラーゲンが豊富な組織なので、たんぱく質をしっかり摂る必要があるのだと思います。さらに、コラーゲンを作るためには、鉄分も材料の1つなので、その際に葉酸も必要だと考えられます。歳を取ってくると、やはり歯茎は弱くなっていくので、歯茎に効く栄養素をしっかり摂り、バランスが良い食事をとることが大切だと思います。ぜひ意識して摂ってみて下さい。
歯や歯茎を守る栄養素がしっかり論文としてあるということは、今後、栄養士の活躍できる場所が広がっているということですね。今後とても楽しみです。