こんにちは。管理栄養士・公認スポーツ栄養士の山田志織です。
私は普段スポーツ現場で栄養サポートをおこなったり、自身も趣味でマラソンに取り組んだりするなど、長年にわたってスポーツと関わりながら生活しています。
今は季節的に過ごしやすく、「スポーツの秋」真っ盛り!ということで、今回はスポーツにおける栄養管理についてご紹介したいと思います。
なぜ、スポーツに栄養管理が必要なのか
トップアスリートからスポーツ愛好家まで、多くの人がさまざまな目的でスポーツに取り組む中、食事での栄養管理は競技力や健康面においてとても大切なポイントになります。
最近ではスポーツクラブに栄養士が常駐したり、ジュニア層に向けて栄養サポートがおこなわれたりする機会も多くなってきました。
食事からの栄養摂取は生きるために不可欠ですが、スポーツにおいては特に下記のような理由から、より重要視されています。
①身体活動量の増加にともなうエネルギーの補給
私達は日々の食事からエネルギーを摂取し、体を動かしています。
スポーツに取り組む場合、体を多く動かすだけ消費エネルギーが増加することから、それをまかなうために食事からの摂取エネルギーを増やす必要があります。
②強くて丈夫な体作り
人の体は食べたものが材料となって作られています。そして、体内ではさまざまな組織が新しく作り変えられながら、成長したり機能を維持したりしています。
筋肉や骨などスポーツをする上で大切な組織を強く丈夫に作っていくには、良質な材料をベストなタイミングで摂取することが大切です。
③良好なコンディションの維持
栄養素は体調を整える働きもあります。
疲労を回復させたり、傷んだ筋肉を効率よく修復したりすることで、体調不良やケガを予防して健康的にスポーツを楽しんだり、競技として良い結果につながったりします。
エネルギーや栄養素の摂取が満たされないと…
身体活動量が多いにも関わらず十分な補給がおこなわれないと、運動中のスタミナ切れや集中力の低下など、パフォーマンスに影響が生じてきます。
また、慢性的なエネルギー不足や栄養バランスの乱れは、骨の健康状態や免疫の低下、女性では月経機能の障害、ジュニアでは成長発達への影響など、さまざまな不調を招いてしまいます。
適切な栄養管理をおこなうことで、健康の維持・増進はもちろん、各々の目的に応じた素晴らしいスポーツライフを実現していくことが可能です。
食事量が適正かどうかを判断する方法
日々の運動量や体内でおこなわれる代謝は個人によって異なるため、食事量が見合っているかどうかは、自身で確認して判断することが大切です。
簡便な指標として、体重計測があります。
毎日同じ条件で計測することが望ましく、特に「朝起きて排尿後」のタイミングが最適です。
体重は摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスで変化します。
運動量に対して食事量が足りていないと、体重は減っていきます。エネルギー不足による極端な体重減少はコンディションの悪化につながるため、食事量を増やす必要があります。
しかし、人それぞれ一度に食べられる量に限界があったり、強度の高い運動をした後は食欲が低下してしまうことも多いです。必要に応じて補食をとるなどの工夫も考えていきましょう。
スポーツをする人に望ましい食事構成
スポーツ栄養学では「主食、主菜、副菜(2皿以上)」に加え、「牛乳もしくは乳製品」と「果物」を入れた食事を基本スタイルとしています。
<牛乳・乳製品>
カルシウムの供給源となります。
カルシウムは丈夫な骨を作って骨折を予防するほか、筋肉の収縮や神経の伝達にも関わっています。
スポーツをする人は汗でカルシウムが失われやすいこともあり、より多くの摂取が必要です。牛乳に含まれるカルシウムは吸収されやすいので、効率良く補給することができます。
<果物>
主菜や副菜で不足しがちなビタミン・ミネラルを補います。
特にビタミンCは疲労の回復、鉄の吸収を助けて貧血の予防、さらには骨や関節を構成するコラーゲンの合成にも関わっています。
柑橘類やキウイなど酸味のある果物を選ぶのがおすすめです。
毎日毎食、望ましい食事に整えるのはとてもハードルが高いことです。
まずは「ラーメンだけなど単品で済ませない」「補食でヨーグルトを食べる」「果汁100%ジュースなど飲み物で代用する」など手軽にできることから実践し、無理なく習慣化していきましょう。