自分が大事にしたい仕事のスタイル

この度の令和元年台風15号で被災された皆様ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

DietitianJob(ダイエティシャンジョブ)運営会社(株式会社東洋システムサイエンス)福岡人材事業部の小幡です。

前回のブログでは、『自己概念(ありたい自分・姿)について』お話をしましたが、今回はその続きをお話させて頂きます。

まず、その人が持つ自己概念(ありたい自分・姿)は1つではなく、全ての人が複数持っています。
(場面,置かれた状況,役割など、その時々で色んな自分が居ますよね。)

そのため、もちろん、「仕事をしている時の自分」にも、その時の自己概念(ありたい自分・姿)があります。

そこで、今回は、この概念を表す「キャリア・アンカー」という考え方について、お話します。

「キャリア・アンカー」とは、個人が働く自分のイメージを言語化した自己概念のことです。

もっと言うと、仕事をする(働く)上で、自分が絶対、犠牲にしたくない,譲れない価値観や欲求、動機、能力のことです。

キャリア・アンカーは、組織心理学を開拓したことで知られる、エドガー・H・シャインが提唱したキャリア理論です。

アンカー(anchor)とは、船の錨(いかり)という意味です。

錨(いかり)は、船をつなぎ留めて安定させるために必要です。

この意味合いから、個人のキャリアの基軸(不動点)を与える、という意味で、「キャリア・アンカー」と名付けられました。

皆さんも、仕事(働くこと)での経験の蓄積を通じて、徐々に、仕事をする(働く)上で、自分が絶対、犠牲にしたくない,譲れない価値観や欲求、動機、能力を確立していくと思います。

例えば、こんな感じです。

  • 自分はリーダータイプの仕事が好きで、チームで結果を出したい。
  • 自分は何より、安定や保障がしっかりした中で働きたい。
  • 自分の専門分野を磨いていく働き方をしたい。
  • ある程度、自分の裁量に任せて貰う環境で仕事をしたい。
  • 自分で起業したい。

などなど・・・

自分のキャリア・アンカーが分かれば、仕事や働き方における、本当の自分,ありたい自分,持ち味を知り、自分らしいキャリアの歩み方を考える材料になります。

また、自分のキャリア・アンカーが分かっていれば、外部から与えられる誘因(報酬,肩書など)の誘惑を受けてしまって、後になってから、不満を感じるような就職や転職をしてしまうことがないようにすることが出来ます。

そこで、エドガー・シャイン博士が20年上にわたる調査の結果、見出した計8つのキャリア・アンカーをご紹介します。

皆さんがピンと来るものはどれでしょうか?

1番ピンと来るものを選んで下さい。

それが、自分のキャリア・アンカーです。

【1】専門・職能的コンピタンス

自分が得意としている専門分野や職能分野での能力発揮に満足感を覚える。

【2】全般管理コンピタンス

組織内の席になる地位に立ち、自分の努力によって、組織の成功に貢献し、その結果、高い収入を得ることに喜びを感じる。

【3】自律・独立

組織の規則や手順,規範に束縛されない。
自分のやり方,自分のペース、自分の納得する仕事の標準を優先する。

【4】保障・安定

安全で確実な将来を予測でき、ゆったりとした気持ちで仕事をしたいという欲求を優先する。

【5】起業家的創造性

自信で新しい組織,製品,サービスを生み出して新しい事業を起こし、存続させ、経済的に成功させたいと強く意識する。

【6】奉仕・社会貢献

何らかの形で世の中をもっと良くしたいという欲求に基づいて、キャリアを選択する。

【7】純粋な挑戦

不可能と思えるような障害を克服する、解決不能と思われて来た問題を解決する,極めて手ごわい相手に勝つことが成功。

【8】生活様式

個人,家族,キャリアのニーズをうまく統合したい(単なるバランス以上のものを手に入れたい)。

ちなみに、もし、2,3個同時にピンと来た場合も、1つに絞る必要があります。

キャリア・アンカーは、その人にとって、1つしか存在しないからです。

ただ、自分の直感だけでは、なかなか1つには絞れないという方には、下記のような、ウェブでのキャリア・アンカー診断を利用してみると、より明確に、キャリア・アンカーが分かるかと思います。

★キャリア・アンカー診断

また、キャリア・アンカーは、変化することもあり得ますが、人生経験を積んで、自己洞察を増やすにつれて、より安定してくると考えられています(いったん確立されたキャリア・アンカーは、個人のキャリア全体にわたって、安定し続けると仮定されています)。

ただし、当然ですが、キャリア・アンカーは、ある程度の年数、仕事をした(働いた)経験が無いと、定まりません。

仕事(働いた)経験を通じて、発展・発達・発見するものですから。

さらに、注意点ですが、特定の職業とキャリア・アンカーが絶対的に結び付いている訳ではありません。

例えば、職業は、管理栄養士という同じものであっても、その個々人のキャリア・アンカーは違います。

病院・管理栄養士であっても、専門性を高めることを1番に重視している方のキャリア・アンカーは、【1】専門・職能的コンピタンスになりますし、同じ病院・管理栄養士でも、その方のキャリアアンカーは、【4】保障・安定であったりします。

キャリア・アンカーは、

「何がしたいのか or 何がしたくないか」

「何が好きか or 何が嫌いか」

「何が得意か or 何が苦手か」

の視点ではなく

「どんな風に働きたいのか」

「どんな生活を送りたいのか」

「どんな人生にしたいのか」

といった自己分析から、自身のキャリアを見定めることです。

さて、皆さんの、自分のキャリア・アンカーは何だったでしょうか?

ちなみに、私は【3】なんです(笑)。

ウェブ診断をやってみても、【3】でした!(笑)

皆さんも、自分のキャリア・アンカーを見つけて、是非、今後の自分のキャリア(お仕事スタイル)の軸にして下さいね!

【参考文献・ホームページ】

理と利 Ritori 組織づくり・人材育成のプロフェッショナル向けメディア