初めまして。外部執筆スタッフの管理栄養士 吉澤裕加です。
高校野球の優勝校も決まり、夏のイベントがまた一つ終わりましたね。
しかし、まだまだ暑い日が続きます。
外出する時だけでなく屋内にいる場合でもしっかりと水分をこまめに摂りましょう。
私はこれまで産婦人科の病院勤務で栄養相談を行ってきました。
BMI(Body Mass index)=体重と身長の関係から算出するヒトの肥満度を表す骨格指数を使い、低体重(BMI18.5未満)と肥満(BMI25以上)の方へ栄養相談の予約の声掛けをしていました。
その中でも、この仕事に携わる前後で低体重の方への問題点が予想と異なる部分がありました。
そこで今回は私が実際に感じた問題点を国民健康・栄養調査と比較しお伝えしたいと思います。
国民健康・栄養調査とは
この調査は健康増進法に基づき、国民の身体状況、栄養素等の摂取量や生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進に活用するための基礎資料を得ることを目的としています。
平成29年の結果では20~50歳代の女性の低体重の方の割合はいずれの年齢階級でも10%超で、特に20代では21.7%となっています。
近年は、若年女性の低体重は低出生体重児出産のリスクとの関連があり問題として取り上げられています。
女性の低体重の問題点の予想
『痩せている方がいい』という価値観の普及により、溢れかえるほどのダイエット法がメディアやネットで流れていますよね。
このことから、誤ったダイエットによる食生活が低体重に繋がっていると予想していました。
栄養相談で話を聞くと
栄養相談を受けた低体重の方は「過去にダイエットをしたことはない」という回答がほとんどでした。(全くゼロではありませんが)
ダイエットをして低体重になった方はほとんどいませんでした。
朝食は時間がなくて食べないという事実
多くの方が口を揃えて言われるのは「朝食を食べる時間がない・元々食べる習慣がないから今のままでよい」という事実でした。
そこで私が患者様へアドバイスした例をいくつか紹介したいと思います。
『朝食を食べる時間がない』
- 1日の生活リズムを振り返っていただく。
管理栄養士と患者様が生活リズムを一緒に確認することで、改善すべき点がいくつか出てきます。
患者様自身が自分で気づいた点は改善に繋がりやすいです。
気づかなかった点は私の方から気づいていただけるようにポイントをまとめお話します。
多くの方は仕事と家事と睡眠時間の配分を少し調整するだけで朝、余裕をもって起床することができ時間の確保に繋がります。
患者様によっては「食べる時間がない=作る時間がない」という風に考え、朝食に対してとてもハードルが上がっている方もいらっしゃいます。
前日に夕食を少し多めに作り、翌日の朝食へ回したり、一から作ることができなくてもまずは買い置きしておくだけですぐに食べられる食パンを1枚食べてるでも大きな変化です。
『元々食べる習慣がないから今のままでよい』
- これまでの体と赤ちゃんがいる体は変化していることをイメージしていただく。
元々食べる習慣がないが体調もよく支障がないと朝食の必要性を感じない方もいます。
しかし、食事を規則正しく摂るメリットとして栄養や酸素がよく届き血液の循環もよくすることができ、赤ちゃんにとっていい環境を作ることができます。
また、妊娠期間中は食事の間隔が空くことにより高血糖となりやすいことや、急激に体重を増加させ結果的には患者様の体にも赤ちゃんの体にも負担をかけてしまうことをお話しメリットとデメリットを比較してもらっていました。
妊娠期間中は患者様も「赤ちゃんのために」という行動変容の動機付けが高まり生活習慣を見直す機会になりやすいのでチャンスです。
少し気づきのきっかけを作って差し上げることでまずは朝食に何か食べてみようという気持ちに繋げることも可能でした。
多くの方は、全く朝食を食べない状態から何か少しでも食べようとしてくださったり、まずはヨーグルトを食べることから始めたり、慣れてきた方は栄養バランスを意識し主食・主菜・副菜を摂れるようになる方もいらっしゃいました。
患者様の変化が見られ無事に出産されるとやはり嬉しいものです。
管理栄養士・栄養士が今、出来ること
近年、共働きの家庭が増える中、家事と仕事を両立することが多い女性。
今後は保育園の無償化により益々、共働き家庭の増加が見込まれる中、食事に時間をかけられない女性が増えることも考えられます。
栄養バランスの相談に乗るのが得意だというイメージが強い私たちも、時代背景に合わせたアドバイスが出来るような立場でなければならないと感じた経験でした。
参考文献 → 厚生労働省 平成29年「国民健康・栄養調査」の結果