高齢者の食事を変える⁉凍結含侵法

はじめまして、DietitianJob(ダイエティシャンジョブ)運営会社(株式会社東洋システムサイエンス)東京人材事業部 那須野です。

 

私は日々の業務でお会いする、様々なクライアント様 病院、福祉施設、保育園、給食会社、食品会社 などの現場から学んだことや新しい発見について発信していければと思っております。

 

早速ですが先日、お取引のある給食会社様で、今後の高齢者のお食事を変える凍結含侵法について勉強をしてまいりました。

皆様は、「凍結含侵法(とうけつがんしんほう)」って聞いたことはありますか?

 

私自身、今回初めて詳しく学ばせていただきました。

それは広島県で研究開発された食材の加工方法で、高齢者の食事に今後変革をもたらす素晴らしい技術なのです!

 

簡単にご説明しますと、食品素材に酵素や栄養成分、調味料を均一かつ急速に染み込ませ、加圧することで、

食品素材の見た目そのままなのに柔らかさを調整したり、栄養価を強化したりできるのです。

 

○凍結含侵法手順

1.食材を加熱する(スチコンで加熱するか、ゆでる)

2.ブラストチラーで芯まで給食冷凍し、冷凍庫に保存する

3.使用する食材を冷蔵庫で解凍する

4.酵素や栄養素、味を真空調理機で含侵する

5.冷蔵庫にて軟化する(軟化の時間は食材の種類や酵素濃度により調整)

6.酵素失活のため加熱し、提供する(すぐに食材を使わない場合は冷凍する)

※素材に味付けをしていない場合は、提供時にあんかけソースなどで味付けをする

 

実際に食べてみたところ、素材の味もしっかり残っていて、見た目は食材そのまま、なのに写真のたくあんも、舌でつぶせるぐらいの柔らかさのです!!筋が硬そうな畜肉や根菜ももちろん、歯が無くても歯茎で容易に潰せる柔らかさで驚きました。

そんな凍結含侵法、国内で取り入れられている施設はまだ数える程度だそうです。やはりコストがかかってしまう事と、食材の種類や大きさにより酵素濃度や含侵時間の調整が必要なことなど、まだまだ課題があるそうです。

 

現在、高齢者、要介護者には、噛む、飲み込むといった食べるための身体機能が低下して、食べることが難しい方(咀嚼、嚥下困難者)も多く、そのような方の食事としては、口に入れて安全に食べられるよう、細かく刻む、すりつぶすなどの工夫がされた刻み食、ミキサー食、とろみ食などが提供されるのが一般的です。そのような調理は食欲をそそり、食事を楽しむ上で重要な「見た目のおいしさ」は失われている場合が多いです。見た目が変わってしまったことで食欲が低下してしまい、残してしまう喫食者がいるのも事実。

それは食事を提供する管理栄養士・栄養士としてとても悲しいことですよね。

 

ですが、凍結含侵法で食材を柔らかくし味付けをすれば、見た目は個体なのに歯が無くても食べられる柔らかいお料理を提供することができます!!見た目が常食と同じなので食欲の増進にもつながりますし、見て楽しい、食べておいしいお食事の提供「食のバリアフリー」が実現できます。食が細くなったご高齢の方にもお食事は楽しんでもらいたいですよね。

ぜひ、この素敵な方法を心にとどめておいていただいて、いつか皆様のお役に立てていただければと思います。

 

【参考URL】広島県ホームページ