こんにちは!DietitianJob運営会社 東洋システムサイエンスの管理栄養士の徳田です。
今回は2024年10月19日に開催された「栄養指導に必要な運動の知識講座」についてご紹介致します。
本講座は、公認スポーツ栄養士や健康運動指導士などの資格をもち、長年栄養指導に携わっている小池先生をお招きしてオンライン(ZOOM配信)で実施しました。
弊社では小池先生による多数のセミナーを開催しておりますが、この講座では栄養指導において重要な「運動の指導」で使える知識を身に付けることができる、栄養指導初級講座となっています。
当日のラインナップはこちら
1.食事と運動は両輪
2.運動の原理・原則
3.運動の種類
4.運動処方に必要な条件
5.生活習慣病と運動
1, 食事と運動は両輪
まずは健康の三原則「栄養」「運動」「休養」のうち「運動」について、忙しくて運動する時間がない・新たに運動する時間を作れないといった現代人の背景を踏まえ、「身体活動」の基準や指針が定められているというお話から始まります。
運動だけではなく日常の生活の中で身体活動を増やしていくことが重要とされているということで、令和元年と令和4年の国民健康栄養調査の歩数の状況についてもご解説いただきました。
2.運動の原理・原則
運動の3つの原理(過負荷の原理、特異性の原理、可逆性の原理)と5つの原則(全面性の原則、個別性の原則、意識性の原則、漸新性の原則、反復性の原則)についてご説明いただきました。
3.運動の種類
運動は、有酸素運動、無酸素運動(レジスタンストレーニング)、ストレッチング(動的・静的)に大別されます。
有酸素運動と無酸素運動は、運動時の呼吸の有無ではなく、その運動を行うときに使用するエネルギー供給機構により区別されます。
エネルギーを生み出す際に酸素を要する経路(TCA回路など)が中心なのが有酸素系、酸素を必要としない経路(ATP-PCr系など)中心なのが無酸素系です。
有酸素系は強度は強くないもののゆっくり長く続く運動に向き、無酸素系は持続時間は短いけれど強度の高い運動に向きます。
運動強度が高くなればなるほどその原料として脂肪よりも糖質が使用される割合が高くなります。
筋肉には赤筋と白筋があり、この比率は遺伝により決まっています。
赤筋は遅筋とも呼ばれ持久力を発揮する際に使われます。ミトコンドリアが豊富で酸素系エネルギー代謝中心の「低強度長時間の力」で、魚で言うとマグロなどの回遊魚です。
白筋は速筋ともいわれ、瞬発力を発揮する際に使われます。ミトコンドリアが少なく、乳酸系エネルギー代謝中心の「高強度短時間の力」で、魚でいうと外敵が来た時に素早く逃げるヒラメやタイです。
何もしなければ加齢とともに筋肉は減少するというのは一般にも言われていますが、この筋肉とは白筋のことを指しています。
レジスタンストレーニングによって増やすことができるのもこの白筋です。
有酸素性運動を行うと、減量、血糖値・血圧の低下、脂質異常の改善など生活習慣病に対する効果を期待できます。
この、運動を行ったときに体内で起こる反応の機序を先生がアニメーション効果をつけたスライドで解説してくださるので、生理学の復習にもなりました。
無酸素性運動(レジスタンストレーニング)を行うと、筋肉量を増やすことができます。
骨格筋量は糖代謝の調整に重要で、筋肉量が少ないと血糖値が上がりやすくなります。
やせ型で食生活が良好な高齢女性の血糖コントロール不良は筋量が少ないことが原因の一つとなることもあります。
レジスタンストレーニングの中でおすすめなのが「スロトレ」といわれる動作です。
筋肉の張力を維持しながらゆっくり動くため、筋肥大・筋力増強効果がありながらも負担は小さく安全に行えるので、高齢者や運動習慣のない人にも適しています。
ストレッチングには筋温の増加、柔軟性の増加、自律神経の調整といった効果があります。
静的ストレッチングは筋を伸ばす動きで、副交感神経を優位にさせるため運動前にはもも上げスキップなどで体を動かしつつ可動域を広げる動的ストレッチングを行います。
4.運動処方に必要な条件
運動をすることで得られる効果は、強度・頻度・セット数・休息時間をの設定により異なります。
また、同じ運動をすることでだれにとっても同じ効果を得られるわけではありません。
運動強度には相対的強度と絶対的強度があります。
個別性の法則に則って個人個人で設定する必要がありますが、健康ではない、疾病のある人では特に慎重に設定します。
例えばメッツは絶対的強度の指標として体重あたり・時間あたりのエネルギー消費量を計算するのに使えますが、心拍数やRPEといった相対的強度の指標と組み合わせると、年齢等の条件によって楽に感じるのかきつく感じるのかが異なります。
5.生活習慣病と運動
高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満症のについて、各疾病の治療・予防ガイドラインの中で運動にかかわる記述を抜粋してご紹介いただきました。
実際におすすめしやすいトレーニング例を図示した資料をご用意してくださっていて、参考になると参加者の方からも好評でした。
参加者の声(一部抜粋。記述は回答のまま)
〇個々の方への運動強度について悩むことがありましたが、今回のセミナー内容と小池先生の実体験がとても参考になりました
〇高齢期の方のフレイル、低栄養予防にあたり食事や運動の重要性を伝える際に、どのように話すと良いかの具体例が掴めました!
〇セミナーの最後あたりで実践的な運動の効果的な方法が学べて良かった。途中の計算式などは難しく感じた。
〇代謝の仕組みをあらためて学び、運動との栄養の重要性を再認識しました。
途中でメッツの説明があるのですが、皆さんそこを難しく感じていらっしゃるようです(私自身も苦手です)。
ただ、先生の説明を聞いた直後はすんなり理解ができるので、受講後の復習が大切なのだと毎回感じております。
運動指導について学びたい、復習したい方はぜひ次回開催時にご参加下さい♪
Dietitian Jobでは今後も栄養士・管理栄養士の皆様の日々の業務に少しでもお役に立てるセミナーを開催していきます。
引き続きご参加をお待ちしております。